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イラン旅行記 その1 - 放棄された建物

 

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作りかけなのか、廃墟なのかわからない建物。

乾燥による劣化が激しく、それを維持するほどの人材と資源が釣り合っていないのだろうか。作りかけで放棄された建物ばかり。たまに見える放棄された土地、そして砂漠・荒野、砂漠。

 この国では、人々は少ないオアシスに逃げ込みます。国土のほんの数パーセントに活路を見出して、乾きと戦います。川なんて夏も秋も干上がって、白い石を露呈するのみ。コンタクトは目にはりついて、鼻はつまるし、油が胃を悩ませる。
 しかし乾いた土地を補うように人が優しい、などと言ってしまえば言い過ぎでしょうか。
 イランは文明国でした。ミャンマーとか、ベトナムとかは未開文化の影があります。それらの土地は大体が農村の人たちで、牛馬の匂いの抜けない土垢のついた人たちが大勢います。(僕も農民なので、その匂いは嫌いではありません。)

 しかし、ここは2500年前から偉大なる王朝を築いてきた先祖を持ち、文明国としての誇りをもって生きているという文化的な厚みを感じます。彼らは、単に「いい人」で終わるのではなく、節度のあるマナーをもったいい人たちなのです。旅行者を見ても「あれをくれ」「これをくれ」とは一般人は言いません。(物乞いは言います。それは世界中どこでも。)そこに大した違いはないかもしれない。でも、何かしらの文化的な厚みを感じます。

 オイルマネーの影響である程度の富を確保できているのかもしれませんが、それでもかなり貧しい。貧しさの中に秩序と文明的な節度が存在している、なんて言ったら昔の日本みたいじゃないですか。

 

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moto