昼下がりモンキー

最近読んだ小説とか、漫画とか、映画とかのレビュー

『プール』 理解することをあきらめる幸せ

『かもめ食堂』はマジックリアリズムでした。映画で丁寧に積み上げていく現実世界。少しおかしい人たちとの日常が、最後の魔法によって、日常のすべては奇跡の産物だと気づかせる構造をもっていたように思えます。それは、フィンランドという土地の魅せる魔…

スパイダーマン ファーフロムホームの構造 肉体への回帰 ネタバレ

スパイダーマンは親愛なる隣人である。 ニューヨークのヒーローであり、手の届くところにいる感じが何よりの魅力だ。それはいわば、初代ポケモンのような身近さだ。いるんじゃないか、と思わせるぐらいの親近感と、憧れ。 さて、今回のテーマはフェイクだ。 …

アベンジャーズ・エンドゲーム キャプテンアメリカとアイアンマンの対比の構造

アイアンマンことトニースタークは基本的にはエゴイスティックだ。 キャプテンアメリカことスティーブロジャースは、基本的には自己犠牲の人間だ。 その構造が、アベンジャーズエンドゲームにおいて逆転することに感動がある。まったく違う信念を持つ者同士…

スリランカ旅行記2  聖地カタラガマ

旅に目的地は必要なのだろうか。 難しい問題だ。この問いに対するぼくの答えは、半分イエスで半分ノーだ。 なぜなら、目的がないと旅のモチベーションが上がらず、そもそも旅が始まらない。しかし、目的地は大概の場合、期待はずれで終わるからだ。他の人は…

スリランカ旅行記 1 simのない世界

世界の距離は縮まっているという。 ぼくは航空機の発達について語ることはできない。おおまかな知識しかない。それは多くの人が記憶から引き出せる近代史というものとほぼ同じものだろう。ライト兄弟がいて、リンドバーグがいて、第二次世界大戦があって、プ…

カンボジアシガレット小話

外国に行くときはタバコをもっていくと便利だ。 それが簡単なお金の代わりになる。お礼に使えるし、お近づきの印に使える。しかし通貨とは似て非なるもの。もっと純粋に「好意」をそのまま形にしたようなものに近いのかもしれない。そしてお金よりもずっとず…

イラン旅行記 6 - マリファナ

イランは治安が良かった。 人も良かった。 道行く人が声をかけてきて、たまに家に泊めてくれたり。旅行者を歓迎することに喜びを感じるイスラム圏の思考回路なのかもしれない。それがウェットな部分を大いに含んでいて、独りで旅行するのが好きなめんどくさ…

イラン旅行記 5 - 結婚式とポリエステル

イランを旅行中、結婚式に招待された。 是非よろこんで―と返事したいところだったのだけれど、聞けば日程が帰国日と重なる。しかも地方都市シラーズで挙式の予定であり、結婚式のあとで首都テヘランに戻っていたらどう考えても飛行機に間に合わない。泣く泣…

イラン旅行記 4 - 軽やかな物乞い

イランの若者の話を聞く。 「ホメイニもロウハニも政治もよくない。たとえば、見てみろ、ホメイニーの聖廟はずっと作成中だ。右端の塔を作るのに13年経っても終わっていない。どんだけ税金使うんだ。それにアルコール禁止だし、ドラッグは出回ってる。学校で…

イラン旅行記2 -  バザールに見る男女のパワーバランス

夫婦喧嘩をしているイラン人を見ると、いいなあと思った。 女性と男性の関係として、バザールでストッキングを売っていた男と、客の女性が激しく口論していた一幕を思い出す。商品の質が悪かったのだろう。しばらく遠巻きに観察していたが、男が半泣きになっ…

イラン旅行記 その1 - 放棄された建物

作りかけなのか、廃墟なのかわからない建物。 乾燥による劣化が激しく、それを維持するほどの人材と資源が釣り合っていないのだろうか。作りかけで放棄された建物ばかり。たまに見える放棄された土地、そして砂漠・荒野、砂漠。 この国では、人々は少ないオ…

イランから帰ってきました

お久しぶりです。 イランから帰ってきました。10日ほどの滞在でしたが、今まで行った国の中で最も異文化でしたね。 しかし、アジアです。アジアの西の果てとはいっても、この極東の日本と似通った精神性をしていることを感じて不思議な気持ちになりました。…

イラン行ってきます

イランに行ってきます。 帰ってきたら写真でもアップしますので。 ますます書評ブログでなくなる昼下がりモンキーでした。略して昼モン。 今回の目標はコレ↓ とコレ あと難しいけどできることなら 行ってきます。 moto

レビュー『深夜特急 4 シルクロード』 現実を追いつかせるな

来週イランに行ってきます。その前に、深夜特急を読んで復習と予習をしておこうと思い、本棚から取り出す。読んだのは随分前なので記憶は曖昧だったが、やっぱり沢木耕太郎はイランに寄ってた。よかった。 深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫) 作者: 沢木…